思春期について
桃井真里子のちょっとからくちTALK
思春期について
思春期の子育ての話です。思春期は、脳が激変する子どもにとっても親にとっても大事な時期です。
親としては、思春期が親の力の発揮どころとして最後のチャンスなので、これぞ“わが子の将来の損得が決まる”と力が入りがちです。子どもが将来損をしないように、という価値観が目の前にちらついて、親も不安を一掃したくて、子どもを叱咤(しった)激励しがちです。“学校にいけない”“学校よりも別の時間を持ちたい”“学校だけはいやだ”という子どもを目の前にして、『せめて学校くらいは卒業していないと、将来どんな損をするか、この子はわかっていない。自分が今わからせなくては』と張りきりがちです。
この親のがんばりで、子どもは一層困惑、混乱し、悩み、つらさ、を募らせます。親の期待にそえない自分がいやになります。同時に、そういう思いをさせる親が憎くなります。親の思いは十分に理解しつつも、自分のことを本当は分かっていない親が、自分を破壊させるようにも思えてきます。
こういう自尊心の傷つきと、親への複雑な強烈な思いが交錯すると、内に向かえば閉じこもり、外に向かえば、物や人への暴力となって爆発します。爆発させないと自分が壊れるからです。こんなことが生じたら、ああ、自分が壊れるのを防御しているんだ、と思ってください。そして、適切な対応を考えることが大事です。
親から放すことも大切なこと
ここで一層小言に励むと、何もかもが一層悪くなります。こういうときには、親から放して、専門医、あるいは、専門家に任せることがベストです。世間的に当たり前ではないコースを歩むことは、誰にも不安を呼び起こします。
そういう人生を歩まなかった親にとっては、未知の世界なので、不安だらけです。でも、子どもを未知の世界に出してやることは親の務めでもあります。自分がよーく知っている世界に出すのは親にとって、一番安心で、容易なことなのです。未知の世界がいいと言ったのなら、その大変さをよーく話し合って、「頑張りな」「困ったらいつでも相談しな」と言うのが、親ができるベストのことだと思います。それで子どもは親の不安と辛抱を十分に理解して感謝してくれるでしょう。
困難はどの道を選んでもつきものです。困難のない人生をあゆむばかりが幸福とはいえないところが、人生の一番よいところだと思います。