第9回 キャリーオーバー
| キャリーオーバーとは、「こどものときに発病した慢性の病気」または「治癒しても病... |
キャリーオーバーとは、「こどものときに発病した慢性の病気」または「治癒しても病気から発生した合併症などの問題」を思春期や成人に持ち越すことをいいます。実際に、慢性疾患の50%以上が当てはまります。このような場合いかに医療にかかわっていくかは、大変重要なことです。
[ キャリーオーバーとなる主な病気 ]
先天性心疾患、胆道閉鎖症、直腸肛門奇形、先天性代謝異常、小児がん、慢性腎疾患、気管支喘息、膠原病、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、てんかん、筋ジストロフィーなどがあります。この観点から「成育」という言葉が生まれ、「国立小児病院」は、「国立成育医療センター」になりました。「成育」とはキャリーオーバーを考慮した医療体系で、「成育医療」は胎児期・乳幼児期から子どもと家族の将来をも見据えての、総合的、継続的なものを意味します。
[ 心理・社会的問題 ]
小児科から内科へ移行した場合の主治医との関係、進学・就職、結婚・妊娠・出産など。その対応は、医療に関係したもののみでなく、その支援は、家族関係(母子関係や同胞の関係)、学校生活(学力・体育、友人関係、教師との関係)、地域の人々との関係、職場における人間関係などを含んでいます。
[ 小児がんの場合 ]
成人に至ってからの病名説明、再発、治療に伴う合併症(晩期障害)、二次がん(新たながん)の発症に対する不安など。
[ 外科系疾患の場合 ]
直腸肛門奇形などでは、性の問題、異性とのつきあい、将来への悲観などがあります。
[ キャリーオーバーの現時点での解決すべき問題点 ]
立場によって異なるもので、次のようなものがあります。
A患者側…社会的に未熟、小児医療提供者への依存性が強く、そのため、成人医療者への不信が生まれやすい
B家族側…㈰患者に対する過保護的な対応、㈪疾患の重症度への過剰な認識、㈫医療提供者への過度の要求
C小児医療者側…自己過信、患児や家族との感情的な強過ぎる絆(きずな)、成人医療提供者への不信、移行プログラムの欠如
D成人医療者側…キャリーオーバー症例への興味の欠如、患者の気持ちへの無理解、先天性疾患への知識の欠如
などがある。














