寝る前のお話してますか?
桃井真里子のちょっとからくちTALK
寝る前のお話してますか?
今回は、繰り返すことの意味、についてです。
ちいさい子どもは、何かが面白いと、同じことを繰り返し繰り返し要求します。同じお話でも、毎晩、繰り返し、聞かせて、とせがみます。育児中は、こっちも疲れているし、眠いので、お話をしながら、子どもよりも先に眠くなることもしばしばです。
早く寝てくれないかなあ、と祈りつつ、昨日もしたお話を繰り返していると、つい、もう寝なさい、といいたくなります。
子どもは、お話を聞きたい、ということもあるでしょうが、気に入ったお話をしてくれる親の声が聞こえていることで、えもいわれぬ安心感に包まれ、安心して眠りにつくのです。お話の内容よりも、穏やかに話している親の声で眠くなるらしいのです。
同じ場面を想起するほうが、新しい場面の想起よりも、脳は睡眠モードに入りやすいのです。ですから、新たなエキサイティングな戦闘ものよりも、たいした筋書きのない繰り返し聞く物語のほうが、安心して寝入るようです。
逆に、寝る前に、TV画面を見ていたり、戦いのゲームをしていたりすると、眠りを妨げます。
親の優しい表情や穏やかな声が、子どもの大きな財産に
小さいころに親が眠気と必死に闘いつつもお話してくれたことは、子どもは大きくなっても記憶しています。内容も、そのときの親の声も、そして、眠気をこらえて話していた支離滅裂な内容も、全部、脳の奥底にしまいこまれています。
人生への安心感は、そういうところでできていくようです。何も、読み聞かせで本が好きになると頭が良くなるとか、成績があがるとか、人生が成功するとかいうことではなくて、読んでくれた親の声への安心感が、人生と闘うときの糧になるようです。ですから、どの本がよいとか、たくさん本を与えましょうとか、よりも、親の穏やかな声を聞いていたときの安心感、が財産になるのです。
忙しいときに無理する必要はありません。時間がないときに無理をしても、無理は自然に表に出ます。眠くて支離滅裂な話になる自分を笑い飛ばしつつ、繰り返し際限のない子どもの要求にいらいらしつつ、繰り返しは、子どもの頭脳の中でおなじみの画像が出てきて、安心感を惹(ひ)き起こしているんだなあ、と脳科学的に理解しつつ、寝る前にお話をしてやってください。
親がくれた人生への安心感は、その子どもの成長に最大の貢献をします。