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2009年08月 アーカイブ

2009年08月07日

vol.3 野菜が不足している日本人。がんが増えている日本人。

vol.3
野菜が不足している日本人。がんが増えている日本人。

 『野菜が不足している日本人。がんが増えている日本人』というタイトルのフォーラムを平成13年に東京で開催しました。日本で大腸がんが増えている時期でした。当時の国立がんセンター中央病院の院長・垣添忠生先生にも講演して頂きました。
 がんの原因の35%は食べ物なんだそうです。原因の30%はタバコ。皆タバコをやめたら30%がんが少なくなるかも。10%はウイルス。このようにがんの原因の65%は食事とタバコです。だから、がんも生活習慣病なんですね。がんと食べ物の関係の表(下図)を参考に見てください。(|)の数値が大きいほど、がんのリスクを減少させ、(+)の数値が大きいほど、がんのリスクを増加させます。タバコは+3。タバコは百害あって一利なしですね。私もタバコを止めて30年になります。
 塩は胃ガンにだけ+2。タバコ、酒もプラスが多い。私が知事をしているころ、栃木県は脳卒中が多いが、がんは比較的少ない方の県でした。でもなぜか胃がんだけは多かった。この表を見て納得しました。塩分の摂取が多いから胃がんも多かったんです。

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野菜はがんの予防に役立つ
 野菜や果物はがんになる危険性を下げると言われています。表によると、野菜や果物はほとんどのがんに対しマイナス。だから、たくさん食べましょう。野菜は1日350g以上食べると良いと言われています。この量は生野菜ならどんぶり3杯くらい。毎日この量を食べるのは大変なことですが、お浸しや煮物にすれば食べられるでしょう。果物は200g以上です。
 話は変わりますが、タンパク質については、食肉も結構ですが、おいしいから、力がつくからといって食べ過ぎないよう気を付けましょう。若いうちは肉を食べ、年配になったら魚をたくさん食べましょう。魚は不飽和脂肪酸が多く血液をサラサラにする機能があるそうです。動物性タンパク質だけでなく植物性タンパク質(大豆など)も必要ですね。

育児は「子どもの時間を一緒に楽しむ」こと

桃井真里子のちょっとからくちTALK
育児は「子どもの時間を一緒に楽しむ」こと

 ベテランの小児科医3人が雑談しているときです。診察室でも子どもを頭ごなしにしかる親が増えた、というのです。電車の中でもそうで、しかっているのじゃなくて、親が切れている、という話になりました。
 私が担当する神経専門外来では、育てにくさがある子どもたちに対して親と頻回につきあいますので、親も対応のこつがつかめてきています。
 でも総合診療部という急性疾患を診る診察室では、親が言うことを聞かない子どもに切れている、という場面が多いのだというのです。

 「切れる」のは、病的な場合もありますが、多くは、我慢が限界を超えたときに気持ちが爆発する状態ですから、切れる前には、“ぐっと我慢”している状態があります。この“ぐっと我慢”のレベルが低くなったのでしょう。
 社会のスピードが増せば増すほど、我慢のレベルは下がります。自動販売機で待つ必要がなく、コンビニですぐに手に入り、携帯ですぐに連絡ができ、時間をかけて待つことが少なくなりました。
 その中で、育児だけが「待つ」ことばかりです。子どもが聞き分けるのを待つ、子どもが自分で立ち上がるのを待つ、子どもが成長するのを待つ。いずれも、親がどうしようと、どうにもならないことばかりです。

大人のせわしい時間を忘れ、子どもの時間に切り替えて
 急患室でも、待たされて切れて怒鳴り散らしている親によく遭遇します。待たされていること自体に我慢がならないのです。これの行き着く先は、虐(ぎゃく)待です。切れて子どもを床に叩きつける、激しくゆすぶる、などの結果、子どもたちは脳に重篤な損傷を受けて、生涯を植物状態で過ごさねばなりません。こういう激しい虐待も増える一方です。
 子どもに授乳しながら親は携帯mailに夢中という話もよく聞きます。授乳のときに子どもと目を合わせないでまともに脳が育つはずはないのですが、授乳すら楽しまない貧しさに、日本中が覆われています。

 育児はとても大変ですが、子どもと一緒にいる時間は、大人のせわしい時間を忘れて、時間の流れの遅い「子どもの時間を楽しむ」、ことでもあるような気がします。
 自分たちが忘れていた「子どもの時間」に10分間でもスイッチを切り替えてみる、それは子どもの脳にも最高の働きをするのです。

2009年08月21日

vol.4 平均寿命と食事バランスの関係は?(その1)

vol.4
平均寿命と食事バランスの関係は?(その1)

 日本人の戦前(今から65年くらい前)の平均寿命は50歳以下で世界の平均寿命より低かった。日本人が世界の平均並みになったのは昭和30年ごろです。それから急速に伸びて、世界1位になったのはたしか昭和52年です。
 人間の寿命の長短は、その食事の良し悪しに左右されます。戦前の食事は澱粉(炭水化物)にかたよっていた。昭和12、13年、僕が小学2、3年のころの日本人の食事は、一日に摂っている総カロリーのうち、なんと83%は澱粉からとっていた。脂肪からはわずかに7%。タンパク質からは10%くらい。米だけでお腹をいっぱいにして満足していた。おかずがいかに少なかったかですね。
 今に比べれば、当時の食生活は栄養的には極めて貧しかった。

世界一長寿国になった昭和52年ごろが、理想的な食事バランス
 平均寿命が1位になった昭和52年ごろをみると、一日に摂っているカロリーのうち、澱粉から摂っているカロリーは63%に減少しました。一方、脂肪から摂っているカロリーは25%くらいに増え、タンパク質からは12%くらい。この三つの栄養素の比率が日本人にとって一番良かった。そのころ、日本人の平均寿命が世界一になったのです。この澱粉・脂肪・タンパク質の3つの摂取カロリーのバランスの良いことが大切なのです。近年、それが乱れてきた。
 一方、アメリカの食事はどうか。1日に摂っているカロリーのうち、なんと45%は脂肪から。澱粉からは41〜42%。残りがタンパク質から。いかに脂肪の摂取が多いか。その結果、肥満が多くなり心臓病が増えた。しかし、アメリカはそれじゃいけないというので、脂肪から摂るカロリーの比率を45%から30%台くらいに落とす。逆に澱粉から摂るカロリーは40%から50%〜60%に上げる食育政策を始めたのです。
 ところが日本ではどうか。30年くらい前、日本が世界一長命となった昭和52年ごろの食生活を仮に「日本型食生活」と名付けると、今それが乱れ始めたのです。今でも日本は世界一の長寿国ですが、これからが大変心配なのです。
 沖縄の男性は、今から十数年前までは日本一長命だったのが、今は全国25位に落ちてしまった。1位は長野県です。十数年のうちに、なぜ25位に落ちたのか。沖縄の男性は食生活が欧米化するスピードが速かったからだと思います。一日に摂るカロリーのうちタンパク質(プロテイン・P)から摂るカロリーの比率と、脂肪(ファット・F)から摂るカロリーの比率と、澱粉(カーボハイドレート・C)から摂るカロリーの比率が、悪くなってきたのだと思います。
 このP・F・Cのバランスは大変大切なポイントの一つなのです。

2009年08月28日

お腹が痛い! そんなとき考えられる疾患とは

vol.56
お腹が痛い! そんなとき考えられる疾患とは
おへそから下が痛むなら、男性は外科、女性は婦人科を

 日常生活の中でも“お腹が痛い”、という訴えを耳にすることは多いですね。でも、その場所や痛み方によって、原因や治療は随分変わるようです。どんな痛みのとき、どんな疾患が考えられるのか、宇都宮市大寛の「うえの医院」院長・上野裕さんに伺いました。


 「お腹が痛む」と来院される方は多く、ほとんどの場合“お腹”とは、おへそから下の部分を念頭においての訴えです。医学的には「下腹部痛」と表現されます。今回は、この症状の原因となる代表的な疾患について取り上げます。
 下腹部痛には、㈰内臓痛=内部に空洞のある臓器(腸や膀胱など)のけいれん的動きや過拡張すること、内容の詰まった臓器の脹れなどが原因。鈍い、あるいはキリキリと絞られるような痛みとして感じる。㈪体性痛=腹膜の炎症や腸間膜・卵巣などの血流障害などが原因で起こる、突き刺すような鋭い痛み、の2種類があります。

■痛みの原因を知ることが先決
 ㈰に該当する主な疾患を挙げます。まずは細菌・ウイルスによる腸炎で、下痢・吐き気・発熱・頭痛を伴うことが多い、いわゆる“胃腸の風邪”です。次いで、過剰な腸内ガスや便の滞留が原因となる「機能性腸膨満」。緩下剤や漢方製剤で対処します。
 3つ目は虫垂炎で、みぞおちの痛みで始まり、やがて右下腹部に部位が移動します。早期であれば切らずに済みます。尿路結石によるものも忘れてはなりません。耐えられないようなキリキリとした痛みで、大腿内側に放散する痛みと血尿が特徴と言えます。
 女性では、子宮・卵巣・卵管周囲・膀胱の炎症も痛みの原因となります。当然、抗生剤治療が施されます。
 次に㈪に当てはまる疾患について。この病態は緊急性が高いものがほとんどです。腹腔臓器の炎症が腹膜にまで及んだ状態、すなわち腹膜炎・腸内ガス排出が停止した腸閉塞、まれですが腸間膜血栓症などがあります。また婦人科的には、卵巣のう腫がねじれてしまった茎捻転、卵管妊娠の破綻に伴う腹腔内出血、が頻度の高いものです。
 症状の発生原因を早期に的確につかむことの大切さは論を待ちませんが、下腹部痛に関しては、男性では外科を、女性では婦人科を初めに訪れるのが最善でしょう。最も効率良く原因にたどり着けるからです。

vol.5 平均寿命と食事バランスの関係は?(その2)

vol.5
平均寿命と食事バランスの関係は?(その2)

 前回は、1日に摂るカロリーのうち、たんぱく質(P)から摂るカロリーが全体の12%くらい、脂肪(F)から摂るカロリーが25%くらい、澱粉(C)から摂るカロリーが63%くらいが日本人にとって一番良い食事バランスだと言いました。日本人が世界一長寿になったころの日本人のPFCバランスがこの比率だったのです。
 この話ちょっと難しいかなと思いましたが、これは大事なポイントの一つですから、ぜひ覚えておいてください。でも、私は栄養士ではないのだからPとかFとか、あるいは食物のカロリーがどれくらいか計算できないと思う人がたくさん居るでしょう。私だって正確な計算なんかできません。大体でいいんです。そのうち食事バランスガイドのお話をしますので、それでちょっと勉強して頂ければ大体わかるようになると思います。

世界一長寿になったもう一つの食事バランス
 今週はもう一つちょっと難しい話をします。日本人が世界一長寿であるもう一つの食生活上の理由は、日本人が摂っているたんぱく質の種類別の比率だと思います。
 たんぱく質は、人間の体を作るといわれている非常に大切な栄養素です。このたんぱく質には、ご承知のように大豆に代表される「植物性たんぱく質」と肉と魚のような「動物性たんぱく質」とがあります。日本人の食生活は、平均的にいうと摂取しているたんぱく質の半分が植物性たんぱく質で、半分が動物性たんぱく質なのです。しかも動物性たんぱく質のうち半分が肉、半分が魚なのです。もう一度いいますと、摂っているたんぱく質全体を100%とすると、全体の半分50%は大豆などの植物性たんぱく質、残りの50%のうち25%が肉、25%が魚ということです。動物性たんぱく質は肉と魚が半々ということですね。
 一方、外国人はどうかというと、国によっても多少違いますが、動物性たんぱく質が全体の70%前後、植物性たんぱく質が残りの30%前後、また動物性たんぱく質のうち大部分は肉で、魚は少ない。
 歴史的には、日本人の摂っているたんぱく質は植物性たんぱく質が多く、動物性たんぱく質は非常に少なかったのですが、戦後次第に動物性たんぱく質の摂取が増え、その結果植物性たんぱく質と動物性たんぱく質の摂取比率が同じくらいになり、また、動物性たんぱく質のうち肉が半分、魚が半分という形になったのです。それが今から30年くらい前、日本人が世界一長寿になったころの日本人の食生活の姿でした。
 しかし、この摂取たんぱく質の種類別バランスも、前回お話したP・F・Cバランスと同様、近年乱れ出し、これからが大変心配なのです。

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