vol.1 ビタミンC神話で野菜の消費量が落ちた!
もともと日本の栄養学には、魚と野菜がでてこなかったんです。栄養学は明治以後、外国からはいってきた学問。外国の人は、魚も野菜もあまり食べないでしょう。ですから外国からきた栄養学では、タンパク質と言ったら畜産物で、魚も野菜も出てこなかったんです。
昔、米の配給があったころ、年間1人126kgの米が配給されていました。配給量が少ないため、子どものころ、私たちはお腹が空いて仕方がなかった。ところが今の人はその半分も米を食べない。米が余ってしまい、生産調整をしなくてはならなくなった。米の代わりにつくるものがあれば良いけど、ない。
野菜の消費が増え野菜の増産をすれば、米の生産調整に役立つと思いました。昭和55年ごろのことです。実はそのころ、野菜の消費はどんどんさがっていた。
野菜の消費がなぜ減ったのか
なぜ、急に野菜の消費が減ったのか—。
それはサラダの消費が増えたから。一見矛盾しているようだけど、サラダの消費がどんどん増えるようになってから、野菜の消費量がぐんと減ったんです。そのころビタミンC神話みたいな話があって、『ビタミンCを取るには生野菜のサラダだ』と。今でも、サラダを食べていれば大丈夫と思っている人が多いでしょう。
僕が農水省の局長になったとき、野菜の消費動向を調べたら、野菜の消費がものすごく減っていました。減ったのはなぜかと調べたら、ビタミンCを取ろうと生野菜のサラダがはやっていた。レタスやキャベツの生の葉を2、3枚食べて、野菜を食べている気になっている。それより昔ながらのお浸しがいい。ホウレンソウをゆでて食べる方がずっと野菜もビタミンCも取れる。レタスの生産量は増えたけど、野菜全体の消費量は少なくなった。
野菜の王様は?
野菜の王様は何か知ってますか? カボチャとかサツマイモですよ。ビタミンCも繊維もたっぷり入っている。私は野菜のことをずいぶん調べました。結果、野菜を食べるのはビタミンCを取るためより、カルシウムや繊維を取るためだと思います。カルシウムの摂取量は今でも少ないといわれている。カルシウムが足りないのは、野菜を食べなくなったからだとも言えます。30年前は、カルシウムの必要量を100とするとその25%は野菜から取っていました。22%は牛乳(カルシウムの王様)から。次は豆から14%。魚の小骨からはたったの7%です。小松菜のお浸し1人前とコップ1杯の牛乳に含まれるカルシウムの量は同じ。
「そう言う大切なことを教えない農林省は、けしからん」と思い、「ザ・ヤサイ」という本を作りPRに努めました。