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2009年07月 アーカイブ

2009年07月17日

vol.1 ビタミンC神話で野菜の消費量が落ちた!

 もともと日本の栄養学には、魚と野菜がでてこなかったんです。栄養学は明治以後、外国からはいってきた学問。外国の人は、魚も野菜もあまり食べないでしょう。ですから外国からきた栄養学では、タンパク質と言ったら畜産物で、魚も野菜も出てこなかったんです。
 昔、米の配給があったころ、年間1人126kgの米が配給されていました。配給量が少ないため、子どものころ、私たちはお腹が空いて仕方がなかった。ところが今の人はその半分も米を食べない。米が余ってしまい、生産調整をしなくてはならなくなった。米の代わりにつくるものがあれば良いけど、ない。
 野菜の消費が増え野菜の増産をすれば、米の生産調整に役立つと思いました。昭和55年ごろのことです。実はそのころ、野菜の消費はどんどんさがっていた。

野菜の消費がなぜ減ったのか
 なぜ、急に野菜の消費が減ったのか—。
 それはサラダの消費が増えたから。一見矛盾しているようだけど、サラダの消費がどんどん増えるようになってから、野菜の消費量がぐんと減ったんです。そのころビタミンC神話みたいな話があって、『ビタミンCを取るには生野菜のサラダだ』と。今でも、サラダを食べていれば大丈夫と思っている人が多いでしょう。
 僕が農水省の局長になったとき、野菜の消費動向を調べたら、野菜の消費がものすごく減っていました。減ったのはなぜかと調べたら、ビタミンCを取ろうと生野菜のサラダがはやっていた。レタスやキャベツの生の葉を2、3枚食べて、野菜を食べている気になっている。それより昔ながらのお浸しがいい。ホウレンソウをゆでて食べる方がずっと野菜もビタミンCも取れる。レタスの生産量は増えたけど、野菜全体の消費量は少なくなった。

野菜の王様は?
 野菜の王様は何か知ってますか? カボチャとかサツマイモですよ。ビタミンCも繊維もたっぷり入っている。私は野菜のことをずいぶん調べました。結果、野菜を食べるのはビタミンCを取るためより、カルシウムや繊維を取るためだと思います。カルシウムの摂取量は今でも少ないといわれている。カルシウムが足りないのは、野菜を食べなくなったからだとも言えます。30年前は、カルシウムの必要量を100とするとその25%は野菜から取っていました。22%は牛乳(カルシウムの王様)から。次は豆から14%。魚の小骨からはたったの7%です。小松菜のお浸し1人前とコップ1杯の牛乳に含まれるカルシウムの量は同じ。
 「そう言う大切なことを教えない農林省は、けしからん」と思い、「ザ・ヤサイ」という本を作りPRに努めました。

2009年07月24日

女性に多い片頭痛、卵胞ホルモンが関与している可能性も

vol.55
その痛み、市販薬で耐えていませんか?
女性に多い片頭痛、卵胞ホルモンが関与している可能性も

 片頭痛は緊張型頭痛と共に良く知られ、そして悩まされている方が多い疾患です。有病率が女性で13%、男性で3・6%、との調査があります。
 思春期から20代で発症することが多く、典型的な症状は月に数回、発作的に起こり、側頭部の片側や前頭部にズキンとした痛みとして感じ、治療しなければ4時間〜72時間持続します。痛みはかなり強く、日常動作を行うと悪化しますので、生活に支障が出ることになります。発作時に吐き気・嘔吐・光や音への過敏性を伴うことがあり、前兆として、肩の張り・光が眩しい・音がうるさく感じる、などを訴える方もいます。

■薬の乱用で別の症状に陥る!?
 原因は諸説ありますが、頭部の血管が何らかの刺激により収縮し、次いで反作用的に過拡張が起こり、その際に血管周辺から催炎症成分が放出されて、痛みが発生する、との見方が主流です。
 女性の場合、排卵期・後期高温期・月経中に起こることが多く、また、更年期以降には発作がほとんど消失してしまうことなども考慮すると、卵胞ホルモンの変化が片頭痛と深く関係しているように思えます。
 次に、治療法について。第1選択薬は、拡張した血管を是正し、催炎症成分を抑制するトリプタン剤です。ただし、発作初期に服用しないと効果が乏しいときもあり、その場合は、いわゆる鎮痛剤に頼らねばなりません。
 また、トリプタン剤を月に10日以上服用することが続くと、痛みに対して過敏になり、「薬剤乱用頭痛」とよぶ状態に陥ることがあります。そのような場合は、脳神経科専門医による「頭痛外来」を訪れてください。
 ところで、前述した理由から女性の片頭痛に卵胞ホルモンを使用し、発作を防止できる場合があります。予定月経の数日前から月経開始数日後まで、卵胞ホルモンを服用するという方法です。もちろん、月経中に頭痛が発生しない方は月経前のみの服用です。
 いずれにしても、疲労・睡眠不足・過食は発作を誘発しやすいので、注意してください。

vol.2 世界で食育が始まった

 世界の先進国で、国として国民の食生活について指導する、いわゆる「食育」を最初に始めたのは、たしかスウェーデンだったと思います。1970年ごろでした。アメリカが「食育」を始めたのは1980年(昭和55年)です。当時アメリカでは、肥満の人が増え、心臓病患者が増大。これを改善するために、政府として国民の食生活についての指導、教育を始めたのでした。
 政府が、国民の食生活についていろいろと指導を始めたと知ったときは、「そんなことまで政府がやるのか」と思ったものです。ところがそのアメリカの食生活の改善指針を見て驚きました。
その内容は
㈰いろいろな食物を食べよう
㈪脂肪、コレステロールの摂りすぎを避けよう
㈫十分な量の澱粉や食物繊維のある食物を食べよう
㈬塩や糖分の摂り過ぎを避けよう
㈭理想的な体重を維持しよう
などとあります。
 内容的には日本型の食事を手本にしようと言っているように思いました。そのころからでしょうか、アメリカで次々にスシバーとか、野菜の消費が増加し始めました。
 日本ではまだ「澱粉を減らしてタンパク質、肉を増やそう」という風潮があったころ、アメリカではその逆が始まっていたのです。
 食肉の脂肪は飽和脂肪、魚は不飽和脂肪で、不飽和脂肪には血液をサラサラにする機能があると言われ、漁村における脳梗塞などの発生は農村や都会に比べ少ないとも聞きました。
 海なし県に育った私が水産庁長官になりました。そこで魚の勉強をしました。「魚の脂はいいぞ」と言い始めました。イカ、タコ、エビなどはコレステロールが多いからと敬遠する人が多いけれど、『これらの魚にはタウリンというアミノ酸が入っていて、血圧を正常に保つ役割を果たしているので大いに食べよう』などと言って、スシ屋さんに喜ばれたこともあります。
 昭和52年ごろ、世界一の長寿国となり、アメリカのように国として「食育」をやる必要がなかった日本でしたが、その後20年〜30年の間に食生活の欧米化が進むにつれ、従来の日本型食生活の良さが失われ、「メタボ」に代表されるような日本人の健康上の問題が生じてきました。
 そこで、わが国も平成12年に食生活指針を作り、平成17年には食育基本法という法律までつくって、国民の食生活改善「食育」を大々的に始めたのです。
 私はこの間、食生活情報サービスセンターというところの理事長として、政府の仕事のお手伝いをしてきました。

第6回 熱中症

 「車内にいた子どもが熱中症」「炎天下で野球をしていた高校生が熱中症」との記事を目にする季節です。熱中症の発症には、気温に加えて湿度も関係しています。そして、治療で大事なことは、熱中症と診断または疑いがあったら、必ず医療機関を受診することです。

[熱中症とは]
 ㈰熱痙攣(ねつけいれん)㈪熱疲労㈫熱射病に分類され、最近は重症度から㈵〜㈽度に区別されています。
 ㈵度(軽症)は四肢や腹筋などに痛みをともなった痙攣(全身の痙攣ではない)、腹痛。さらに失神(数秒間程度)、脈拍が速く弱い、呼吸数の増加、顔色不良、めまいなど。
 ㈼度(中等度)は、めまい、疲労感、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)などのいくつかの症状が重なり、加えて血圧の低下、頻脈、皮膚の蒼白など。
 ㈽度(重度)は、意識障害、おかしな言動や行動、過呼吸、中枢神経系を含めた多臓器障害。重篤で、死亡に至る危険性が高い。
[スポーツによる熱中症の予防]
 ㈰気温、湿度などを把握し、それに応じた運動量を守る。涼しい時間帯に行う。適切な水分補給を行う。㈪暑さに徐々にならしていく。体が暑さになれていない梅雨明け直後に多い。㈫体調の悪いときは運動を控える。㈬服装に気をつける。㈭具合が悪くなった場合には、早めに運動を中止する。
[重症になりやすい幼児の熱中症]
 体温調節能力、発汗能力、腎臓(じんぞう)の働きが成人より未熟であるうえに、体内から表面への熱運搬能力も低い。また、水分摂取の有無で影響を受けやすいなどが原因です。室内で静かにしていても起こることもあります。実際、幼児が「かくれんぼ」で熱中症になり死亡したこともあります。
[治療]
 1意識の状態を確認。あわせて、呼吸、脈拍、顔色、体温、手足の温度などのチェックを。
 2㈰休息…安静を保てる環境へと運ぶ。衣服を緩める。㈪冷却…涼しい場所で休ませる。㈫水分補給…意識がはっきりしている場合に限り、水分補給をおこなう。意識障害や吐き気がある場合には、早急に医療機関の受診が必要となる。

日本の常識は、世界の非常識?

上野通子のちょっとからくちTALK
日本の常識は、世界の非常識?

 受動喫煙防止への栃木県民の意識を高めるため、この7月から、県庁舎は議事堂を除き一年前倒しで全面禁煙となりました。一方、渡り廊下で本庁舎とつながっている県議事堂は、全国トップの喫煙所を持つエリアです。このアンバランスな状態を何とかしなければと、6月の議会の質問で、「議事堂内の全面禁煙、または喫煙室の規模縮小」を求めました。これに対し、多くの愛煙家からの反発、反論もありましたが、外国では公共施設の禁煙は常識。国内でも、神奈川県のように、条例で禁煙化をすすめるところもあります。もちろんタバコは嗜(し)好品。吸うなとは言いません。ただ、人に迷惑をかけない吸い方や、自分の健康を考えた吸い方をして欲しいと思います。
 タバコによる健康被害は、肺がんや、動脈硬化、脳梗塞などを引き起こすリスクが高いばかりか、最近では、メタボリックシンドロームのリスクを倍増させることも明らかになっています。さらに肺がんより恐ろしい、COPDと言われる「慢性閉塞性肺疾患」は、その最大の原因が喫煙です。別名タバコ病とも言われ、日本では年間約1万5000人が、死亡しています。長年の課題だった交通事故死者数は、年間で6000人をきっていますから、COPDによる死者数がこれを大きく上回るということは、深刻な社会問題です。
 さらに、非喫煙者における「受動喫煙」の健康被害は、アスベストの害を大きく上回っています。また、タバコを経済学的に見た場合、タバコによる税収などの産業経済メリットが約2兆8000億円であるのに対し、タバコを原因とする医療費増加や労働力の損失など社会的コストは5兆6000億円となり、毎年、差し引き2兆8000億円の損失という試算もでています。喫煙者は、経済的にも多大な損害を全国民に与えていることを、認識しましょう。
 このような、人間の健康面と社会経済面の両方に、多大なダメージをおよぼしているタバコの現状にもかかわらず、わが国の健康増進法の規定は、罰則のない努力義務であり、他国に比べると大変生ぬるいものです。今や、世界の流れも禁煙に向かっています。たとえ、日本人にどこでもタバコを吸う文化が根付いていたとしても、改める勇気を持ち、ルールやマナーにそって、喫煙者も非喫煙者も共存する、健康的な秩序ある社会への変革の発進をすべきです。
 子どもは常に大人を見ています。大人が、「日本の常識が、世界の非常識」と言われるような行動をしないためにも、タバコ問題は、もっと真剣に考えるようにしましょう。

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