思春期にかかりやすい心の病の特徴、そして家族の接し方は?
Vol.40 思春期にかかりやすい心の病の特徴、そして家族の接し方は?
認められたいという思いを満たしてやることが大切
中・高生になると、親子の会話も少なくなりがち。だからこそ、心配や悩みの種が増えますね。思春期は難しい年ごろ。この時期特有の心の病の特徴や家族の対応の仕方について、うえの医院の院長・上野裕さんに伺いました。
思春期は、誰にも訪れる激しい変化の時です。性が開花し、未知の世界と向き合わざるを得なくなる。心理的にも自分の存在・価値を友人や特別の異性に認めてもらいたい欲求(=自己愛)が高まり、不安定になりがちです。
「自己愛はわがままの延長であり、自分への愛が他者に向かうように教育するべきだ」との意見もあります。ですが、現在の心理学では、人に認め・褒めてもらいたいという願望(自己愛)は自然なもので、そうした気持ちに上手く対処していけば、自己のイメージが安定し、社会を肯定的にとらえられるようになる、とする考えが主流です。
■不健全な自己愛が社会不適応の原因に
問題は生育過程で自己愛が十分に満たされず、不健全な自己愛をもつようになったときです。この場合は、他者との関係を上手く築けないことが多くなります。特に思春期には、自己の価値を他者から低く見られまいとして、必要以上に自己顕示する人、逆に他者との関係を減らし、自分に閉じこもる人が増えます。
そうした行動が極端になると、“不登校・引きこもり”など静かな反抗状態を続けたり、自己顕示のため刃傷沙汰に及ぶ例さえ出てきます。いえ、他者との関係を避けようとしている場合でも、根底には「世間は自分を認めてくれない」という欲求不満がたぎっていますので、それが爆発すると、激しい攻撃性反抗に豹変することもあるのです。
健全な自己愛をもった思春期に到達するために重要なのは、「親から承認・賞賛を基本とした養育を受けること」、「周囲に尊敬に値する大人が存在すること」。この2つを私の尊敬する精神科医・コフートは挙げています。
さて、社会を肯定的にとらえられない若者にどう対処したら良いかという点ですが、家族や周囲の人間が共感を持って接し、社会現象の多面性と奥行きの深さを辛抱強く語って、そのことを本人に理解させるしかありません。また、専門医への紹介が必要な場合もありますので、まずは相談してみてください。